中央大学多摩キャンパスにて
7月の2回めの週末つまり7/11(土)・12(日)のそれぞれ、中央大学多摩キャンパス(八王子市)と東京信陵会(渋谷区道玄坂)で喋らせていただいた。まずは前者について。

中央大学では、その社会科学研究所の「ジェンダーの未来」チームが主催で、経済研究所の「社会哲学と経済思想史研究会」チームと「思想史研究会」チームが共催の 公開研究会だった。「ジェンダーの未来」幹事の鳴子博子さんが中心となってぼくをお招きくださり、「社会哲学と経済思想史研究会」幹事の若松直幸さんがサポートされた、と聞いている。

テーマは「保守的啓蒙、世代間倫理、社会的使用価値論――19世紀前半のドイツ経済思想から学ぶもの」。もともと『現代思想』2025年1月号に出した論文「「保守的」と見なされた18・9世紀ドイツの思想家たちから何を学ぶか――保守的啓蒙、ロマン主義、社会的使用価値論」(『ドイツ社会経済思想史の研究』(2026年)に再録)を講演風にアレンジしたものである。
鳴子さんとは、25年ほど前だろうか、思い出がある。
彼女にまだ非常勤講師の職しかなかった頃、ぼくも18歳人口の減少で定員確保が難しくなってきた小規模の地方私立大学にいて、お互いに自分たちの職への不安があった。しかも、社会思想史学会では研究対象がどんどん20世紀の思想へとシフトしていっており、彼女のルソー研究や ぼくの19世紀前半の「保守的」なドイツ経済思想の研究などは すたれていくのだろうか、と話し込んだことがある。
今回の講演は、この問題へのぼくなりの(長くかかった^^;;)回答でもある。端的に言えば、「保守的」ということがつねに権力的なわけではないこと、今日でも直面している 近代・産業主義の問題の萌芽に対して素朴に対峙している面白さがそこにあり、そこから今も示唆を得ることができるということ、である。
それにしても、鳴子さんは立派になられた。チーム幹事のみならず 社会科学研究所の所長でもいらっしゃる。いや、それどころか、なんと副学長もされている。彼女の人徳かな。もちろん、かなりの努力をしてこられた。
若松直幸さん(2021年から中央大学)に会えたのも嬉しかった。神戸大の院生から関西地方の私大に最初の職を得た彼は、このサイトを始めた頃 ぼくに操作を教えてくれたし、ぼくが世話人だった経済学史研究会によく来てくださり、その250回記念例会(2019年)のときのベルトラム・シェフォールトさん(ドイツ・フランクルルト大学)の記念講演は 彼と共訳した(『経済学論究』第74巻第2号・第3号)。
他にも、山尾忠弘さんが大阪から駆けつけてくださったし、先日ヘーゲル学会でぼくが司会をした髙畑旦さん(日本大学の院生)とも再会できた。オンラインでも視聴可能だったこの催しに、遠くから太田仁樹さん、山本幸太郎さん、岩熊典乃さんが、また中央大学教員の高崎理子さん(国際法)も参加してくださったことは、嬉しいことだった。高崎さんからは、アダム・ミュラーの「不在世代」概念とほぼ同じものを外国の判事が今日使っていることを教えていただいた。
鳴子さんをはじめ、準備に携わられたすべての方々に、またすべての参加者の方々に心からお礼申し上げたい。あとで鳴子さんから届いたメールでは「何人もの方たちから、原田先生のご報告は本当に素晴らしかったとの声が寄せられています」とのこと、う~ん、冥利につきる! 喋らせていただいた喜びをかみしめつつ。


