フワフワの羽毛の歌
このまえモコのことで「この子の癒し力は国境を越える」と書いたのを面白く思ってくださった方々がいて、「県境も越えました^^」というメールを――ぼくの県外からの通勤とひっかけて――いただいたりした。全然知らない人でも、この子のフワフワ感を共有できた人とはすぐ仲良くなれるのだ。ベルリンの混んだバス(犬の乗車可)の中で困っていたお年寄り、ジャズドリーム長島でルンルンの女子高生、教授会では少し意見が違うはずの同僚…。
そこで、ひとつ歌が浮かぶ。「この子の癒し力は、どんな人もまた結びつけるよ。兄弟みたいになれる。そのとき立場が違っててもね。フワフワの羽毛がほっこりしてくれるから!」 これ、実は、ベートーヴェンの「第九」の歌詞の ぼくの訳である。直訳は「あなたの魔力は、一時の出来事が分け隔てた状態を再び結び付ける。すべての人間は、あなたの柔らかい翼がゆったりしているところで、兄弟になる。」である。
研究論文なら、そんな訳は詩の文脈・背景と違ってヘンだからダメだろう。「そもそも犬の毛は、翼でも羽でもない!」と反論されてもしかたない。でも、芸術作品というものはだれでも自分に引き付けて楽しめるものだから、まあこの場合はこれで許してもらおう^^;;
あんがいベートーヴェン本人も――あるいは元の詩をつくったシラーも――似たようなことを考えてたかも と思ったりして、年末恒例の「第九」を モコに触れつつテレビで見ていた年越しであった。