今年これまで、雑誌論文1つと編著1つ

 もう5月末、今年これまでに出した2つを紹介しておきたい。

 ひとつは『現代思想』の2025年1月号(第53巻第1号)に出した論文「「保守的」と見なされた18・9世紀ドイツの思想家たちから何を学ぶか――保守的啓蒙・ロマン主義政治経済論・社会的使用価値論」。タイトルは長いが、論文自体は短めで、言いたいことがコンパクトになっているので、読んでいただいた方々には評判がいい。

『現代思想』2025年1月号

 表紙に特集「ロスト・セオリー 絶滅した思想」と強烈に書かれているのは アピール力があるけれど、皆さん 絶滅したようでも振り返る必要がある と思ってらっしゃるだろうから、ちょっとキビシイ。むしろその意義はまだ絶滅していない と主張したいはずである。

 もうひとつは、出たばかりの編著の『経済思想史』(法律文化社)。本当は1年前に出る予定だったが、諸般の事情で半年さらに1年遅れて、なんとか最後は急行軍で仕上げた。まだ修正し足りない感があるけれども、執筆者の皆さんと編集担当の方のご尽力でもって ここまで漕ぎつけた。これらの方々に心からお礼申し上げたい。

 「経済思想史」としたのは、狭義の「経済学史」ではないが「社会思想史」として広がり過ぎもせず、という思いが込められている。古代中世から初めて現代までの通史を目指すとともに、ドイツ経済思想を少し充実させた。とはいえ、250ページほどの本でそれほど多くは盛り込めない。またベテランの方々のみならず、若手・中堅の方々にも書いていただいた。皆さん 経済学史研究会に集う・集った方々である。